スギ花粉症の舌下免疫療法を考えるなら、9月は相談しやすい時期です
スギ花粉症に対するシダキュアは、スギ花粉の飛散時期には新しく開始しません。東京では9月は一般にスギ花粉飛散期外のため、来春に向けて開始を相談しやすい時期のひとつです。
一方、ダニアレルギー性鼻炎に対するミティキュアは、時期を問わず開始を検討できます。
「毎年、花粉症の薬を飲んでもつらい」「鼻水・鼻づまりが一年中続く」「子どものアレルギー性鼻炎を長期的に何とかしたい」――そのような方に検討される治療のひとつが、舌下免疫療法(SLIT:Sublingual Immunotherapy)です。
舌下免疫療法は、症状をその場で抑えるだけの治療ではなく、原因となるアレルゲンを少量ずつ体内に取り入れ、アレルゲンに対する反応を長期的に和らげることを目指す治療です。すべての方に効果が出るわけではなく、「必ず根治する」治療でもありませんが、症状の軽減やアレルギー治療薬の使用量減少、治療終了後も効果が持続する可能性があります。
アレルギー性鼻炎の原因物質(アレルゲン)を少量から継続して投与し、体を徐々にアレルゲンに慣らしていく治療です。日本では、主にスギ花粉症とダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する舌下錠が使用されています。
| 対象 | 主な舌下錠 | 開始時期 |
|---|---|---|
| スギ花粉症 | シダキュア | スギ花粉飛散期を避けて開始 |
| ダニアレルギー性鼻炎 | ミティキュア | 一年を通して開始を検討可能 |
どちらも適応を満たす場合は保険診療で行う治療です。
シダキュアの添付文書では、スギ花粉飛散時期には新たに治療を開始しないこととされています。花粉飛散期はスギ花粉に対する体の反応性が高まっていることが多く、副作用のリスクを考慮する必要があるためです。
そのため、スギ花粉症の舌下免疫療法を検討している方は、春の症状が終わってから次の飛散期が始まる前までに相談することになります。9月・10月頃は、翌シーズンに向けた相談がしやすい時期です。
※実際の開始日は、その年の花粉飛散状況、症状、検査結果、併存疾患、薬剤の在庫・流通状況などを確認して決定します。
ダニによる通年性アレルギー性鼻炎では、季節にかかわらず治療開始を検討できます。ただし「鼻水が一年中ある=ダニアレルギー」とは限りません。治療前に、問診と特異的IgE抗体検査などでダニアレルギー性鼻炎の確定診断を行います。
例えば、次のような方が相談の対象になります。
治療開始前には、スギまたはダニが原因であることを血液検査などで確認します。単に検査が陽性というだけではなく、実際の症状・時期・重症度を合わせて適応を判断します。
小児でも治療を行うことがあります。ただし、シダキュア・ミティキュアとも、添付文書上は5歳未満の幼児を対象とした有効性・安全性の臨床試験は行われていません。
また、錠剤を舌の下に置いて1分間保持するなど、決められた方法で服用できることが重要です。そのため、年齢だけで一律に決めるのではなく、本人が適切に舌下投与できるか、保護者が服薬を管理できるかを含めて個別に判断します。
舌下免疫療法は短期間で終わる治療ではありません。一般に3〜5年程度の長期治療が想定され、少なくとも3年以上の継続が推奨されています。
スギ花粉症では、正しく治療を行うことで最初の花粉飛散シーズンから症状軽減が期待される場合があります。ダニアレルギー性鼻炎では、治療開始から数か月後から効果が現れることがあります。ただし効果には個人差があり、即効性を目的とする治療ではありません。
基本的には1日1回、舌の下で錠剤を1分間保持してから飲み込みます。その後5分間はうがい・飲食を控えます。
シダキュアは開始後1週間は2,000JAU、2週目以降は5,000JAU、ミティキュアは開始後1週間は3,300JAU、2週目以降は10,000JAUを使用します。
また、服用前および服用後2時間は、激しい運動・飲酒・入浴などを避ける必要があります。
シダキュア・ミティキュアともに、初めて服用する日は医師の監督下で投与します。服用後は少なくとも30分間、院内で経過を観察します。
その後、問題がなければ毎日ご自宅で服用を継続します。継続中も定期的な診察が必要です。
あります。特に開始初期には、次のような口腔内・咽頭の症状がみられることがあります。
多くは局所症状ですが、まれにショック・アナフィラキシーなど重いアレルギー反応が起こる可能性があります。
呼吸が苦しい、のどが締まる、急に全身にじんましんが出る、顔や喉が腫れる、意識がおかしいなどの症状があれば、服用を中止して速やかに救急対応を受けてください。
重症の気管支喘息の方や、舌下免疫療法薬でショックを起こしたことがある方は投与できません。また、喘息、自己免疫疾患・免疫不全、悪性腫瘍、重い心肺疾患、口の中の傷・炎症、特定の薬剤を使用している場合などは、治療開始・継続を慎重に判断します。
抜歯や口腔内の処置をした後、発熱・感染症などで体調が悪いときも、自己判断で服用せず医師に相談してください。
すべての方で完全に症状がなくなるわけではありません。症状を軽くする、薬の使用量を減らす、治療終了後も効果が長く続くことなどが期待される治療です。
9月は一般にスギ花粉飛散期外のため、開始を相談しやすい時期です。ただし、診断、体調、喘息の有無、薬剤の在庫状況などを確認して開始日を決めます。
ミティキュアは季節にかかわらず開始を検討できます。まずダニアレルギー性鼻炎の確定診断が必要です。
一般に3〜5年程度の継続が想定され、3年以上の治療が推奨されています。
治療開始直後からすぐに対症薬が不要になるわけではありません。症状に応じて抗ヒスタミン薬や点鼻薬などを併用しながら治療します。
最終更新:2026年9月17日。治療の適応、開始時期、薬剤の供給状況等は個別に異なります。
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