小児科
風邪
子どもの病気の中でも一番よくみられるのが風邪ではないでしょうか?
症状としては、鼻や喉に感染がおこり、その結果として、炎症を起こします。
その炎症が、咳、鼻水、鼻づまり、軽度ののどの痛みや発熱等を起こします。感染の原因の9割以上がウイルスによるものと言われております。
また、きちんと治さないとその後、気管支炎や肺炎に進行する場合もありますので、熱を含めた症状の経過を慎重に観察することが重要です。まさに風邪は万病のもとと言われる所以です。
腹痛
子どもの訴えの中でもかなり多いのが腹痛です。
腹痛は比較的軽症の急性胃腸炎や便秘症から、重篤で緊急の対応が必要な病気(急性虫垂炎や腹膜炎、腸閉そく等)まで、さまざまな原因で起こります。
2歳以下の乳幼児は、はっきりとした腹痛を訴えることができず、ただ機嫌が悪く泣いている場合もあります。腹部を含めた全身の診察が必要です。
便秘は病状としては一見軽く見られがちですが、子どもにとっては、激しい痛みを伴う場合があり、注意が必要です。特に腹部の張りや膨満がみられる場合には慎重な診察が必要になります。腹痛は病状の重症度と痛みの程度が必ずしも一致しないことがありますので、特に子どもの場合には丁寧な診察が必要です。嘔吐や下痢といった他の症状の経過観察が大切になります。
受診される場合は、これらの症状の経過を医師にお伝えください。
下痢
子どもの病気の中でもよく見られるのが下痢です。
下痢の場合は、便の状態をよく観察する必要があり、少し軟らかい程度の下痢か、水のように流れるほどなのか、また、血液や粘液は混じっていないか、腐敗したような臭いはないか、白っぽくないかなどを確かめることが必要です。
血便、粘血便(粘液の混じった血便)、白色便、食物が全く消化されていない便などであれば、緊急性がある場合があるので、その便を医師に見せていただきたいと思います。そして、機嫌はどうか、ぐったりしていないか、嘔吐はないかなどもよく観察しておいてください。大切な診断の手掛かりになります。
下痢が続くと、栄養が足りなくなってしまうのではないかと心配になりつい食べさせてしまうお母さんがいますが、腸が傷んで消化吸収ができなくなっていますので、いくら栄養価の高いものを食べさせてもうまく吸収ができず、腸に負担がかかってしまいます。高カロリーの食事はかえって治りを遅くしてしまいますので、なるべく消化にいいものを選ぶといいでしょう。例えばリンゴを擂ったものやおかゆなどがお勧めです。
また、下痢のときには、水分も吸収しにくくなっていますので、水分を少量ずつ上手にとらせながら休息させてあげてください。
嘔吐
嘔吐は、胃腸が食物を消化する力が低下しているため「食べたり飲んだりした物」を胃腸が拒絶して起こる反射です。
もしもお子さんが吐いてしまった後も、少しずつ水分をとって、あまり苦しそうでなければ、さほど心配はないですが、嘔吐と共に顔色不良となりぐったりする症状や、火がついたように激しく泣く、或いは血便等が見られるときは腸重積症のおそれがあります。
これは腸が腸の中にどんどん入り込んでいってしまい、腸閉そくを起こしてしまう病気で、治療が遅くなり、経過すると腸が壊死して腹膜炎やショックを引き起こしたりする恐ろしい病気です。できるだけ早く受診していただきたいと思います。
また、嘔吐のときは、脱水症状にも注意が必要です。
但し、吐き気がある程度おさまるまで何も与えないほうがいいでしょう。吐き気の強いときは、水を飲ませても簡単に吐いてしまいます。そうすると余計に脱水症状をひきおこす要因にもなりますので、吐いてからしばらくは何も与えず様子をみます。
その後、吐き気がおさまって水分を欲したら水や薄目のお茶などを少量ずつゆっくり与えてください。特に乳児の場合、“スプーンで一杯ずつ飲んでもらう”くらいに少量ずつが良いでしょう。
食事は、様子を見ながらうどんやおかゆなどの炭水化物を少量ずつ与えるのが良いでしょう。
発熱
子どもが熱を出すともちろん心配になります。しかし、お子さんが小さなうちはまだ体温調整機能が発達途中ですので、小学校に入るくらいまではよく熱をだすことがあります。(大丈夫な熱と、治療が必要な熱がありますのできちんと診断させていただきます。)
ところで、発熱は実は感染症からからだを守ろうとする大切なからだの防御反応です。解熱剤で熱を下げても病気自体がなくなるわけではありませんので、過度の解熱剤の使用は控えましょう。
熱の高さと病気の重症度は比例するものではありませんので、診察させていただき、大丈夫な熱だった場合は、無理にお薬を飲ませるのではなくクーリングで経過を観察することも重要です。
また、逆に熱はそれほど高くはないけれど、微熱が長く続き、実は肺炎だったという場合もあります。一度診察させていただきたいと思います。
とびひ
細菌が皮膚に感染することで発症し、人にうつる病気です。
また、かきむしった手を介して、感染、水ぶくれ(水泡)があっという間に全身へ広がる様子が、火事の火の粉が飛び火することに似ている為、「とびひ」とよばれています。
とびひは、虫刺されや汗疹を掻いたり、小さな怪我でできた皮膚の傷に細菌が入り込み、感染する事で発症します。
手足口病
いわゆる夏風邪の一種で、手、足、口の中に水疱ができるのが特徴です。
生後6ヶ月くらいから、4~5才頃の乳児に多い病気です。せきや唾液などの飛沫感染のほか、便からもウィルスが排泄されて口からうつったりしますので注意が必要です。
潜伏期間は3~5日くらいです。手足や口に特有の発疹がでます。手のひら、足の裏、口の中に、周辺が赤くて真ん中が白い、米粒大の水疱ができます。足の甲やおしりにできることもあります。痛みやかゆみはありませんが、足の水疱が、少し痛がゆいこともあります。
熱は出ても37~38度くらいで、1~2日で、大抵下がります。ときに下痢や嘔吐を伴うこともあります。
ヘルパンギーナ
流行が夏であり、且つ、水疱ができる、発熱がある、というように手足口病と症状が似ていますが、手や足には発疹は出ません。また、39~40度の高熱が突然出ます。
水ぼうそう
水痘帯状疱疹ウィルスは、空気感染、飛沫感染、接触感染のいずれかの方法で感染していきます。感染力が強い疾患です。
水疱瘡の最も顕著な症状は発疹です。体のいたるところに発疹が出ますが、発疹の数や程度には個人差があります。
初めは虫刺されに似た小さな発疹ですが、それが一気に周囲に広がり始め、発疹自体が赤い水ぶくれのようになるのが特徴です。この水疱は1週間~10日程度でかさぶたになり、徐々に剥がれて元の肌に戻ります。
ただし、水疱をかきむしってしまった場合には、痕が残ることもあります。
また特徴としていろいろな種類の発疹が混在するので、視診で診断できます。
おたふく風邪
耳下腺や顎下腺が腫れることで丸顔のおたふく面のようになるので、おたふく風邪と呼ばれています。
特に顎下腺が腫れるとおたふくのような顔になりやすいです。症状は風邪のような咳・鼻水、発熱、耳の前下にある唾液腺・耳下腺・下あごの下にある唾液腺・顎下腺の腫脹などです。唾液腺が左右ともに腫れることが多く、診断の大きな決め手になります。時に一方だけしか腫れない場合もあり、その場合は診断が困難な場合もあります。
最初は一方の腫れで、何日か経って両方腫れる場合もおたふく風邪と言ってよいでしょう。腫れは1週間くらいで引きます。
はしか
空気感染、飛沫感染、接触感染、いずれの方法によっても感染し、1歳台が最も多く、次いで6~11ヶ月、2歳の順です。感染力が強い疾患です。
近年、成人麻疹の増加が問題となっており、10~20代での発症が多く報告されています。
10~12日の潜伏期ののち、発熱で発症します。発症期は咳、鼻水、結膜炎症状が強く、38度以上の発熱が数日続きます。そのあと、いったん解熱傾向を示しますが、すぐに耳後部付近から発疹が現われるとともに、39度以上の発熱が数日続きます。
発疹出現後1、2日間に、口腔粘膜に白い粘膜疹が現われます。
この粘膜疹は麻疹に特徴であるため、これを確認して麻疹と臨床診断されることがほとんどです。発疹はその後、顔面、体幹、手足に広がって全身の発疹となり、数日後、色素沈着を残して回復に向かいます。
定期接種:BCG
対象:1歳までに接種します。ヒブ、肺炎球菌、4種混合の接種がひと段落する生後5ヶ月以降に接種することが多いです。
疾患の説明:結核を予防します。結核は成人では肺結核の長引く咳や熱が有名ですが、乳児では全身に結核菌がめぐって髄膜炎や粟粒結核という致死的な疾患を起こします。